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2012年2月19日 (日)

Mountain Lionの登場、そしてその先にあるもの




AppleからMountain Lion (10.8) が発表された(メディアにはディベロッパープレビュー版が1W前に配布されていた模様)。
昨年のLionのリリースから6ヶ月強でのメジャーバージョンアップ発表(正式リリースは夏なので1年)で、Panther (10.3) 以来の1年でのメジャーバージョンアップということになる。
10.4ではシステム内部の大幅な変更がなされたし、10.5ではUniversal Binary化やCocoaの64bit化、10.6では内部コードの書き直し、10.7ではインタフェースの刷新など、ここ数年ではアーキテクチャーの変更を伴うメジャーバージョンアップに相応しい内容だったが、今回の10.8は1年での更新ということもあって内部アーキテクチャーを置き換えるようなことはなく、10.7に対して機能をアドオンするパターンに近いと思う。

今回発表されている新たな機能は
1. iCloud
2. メッセージ
3.リマインダー
4.メモ
5.通知センター
6.共有シート
7.Twitter
8.Game Center
9.AirPlayミラーリング
10.Gatekeeper

これらの機能や名前を見ても分かるとおり、Lion (10.7)をベースに基本はiOSからのフィードバックを実装したものとなる。
そのため個々の機能もiOSに準じたものであり、目新しさには欠ける。

iCloudも10.7.2で実装はされていたもので、すでにLionでも~/Library/Mobile Documents配下にアプリケーション毎にフォルダが作られてiCloudと同期されている。今回はiCloud対応のアプリがオープン/セーブ ダイアログで「iCloud」と「このMac内」を選べるようにAPIが拡張されたに過ぎない。
オープン/セーブ ダイアログで「iCloud」を選択するとアイコンはiOSのようにファイルと、ファイルを重ね合わせて作成するフォルダで表示される。iOSと異なるのはフォルダ内はCover Flowで表示されるためにファイル数の制限を受けないことぐらいだろう。また前述のようにFinderからiCloudデータを格納しているフォルダにアクセス出来るので、ドキュメントフォルダ内にさらに階層フォルダを作成するというiOSでは不可能なフォルダ内フォルダも作成することが出来るようだ。ただし、イレギュラーな操作なのでアクセス等に制限は掛かると思われる。

メモは従来Mail.appに内包されていたものが独立したアプリケーションになっている。Macアプリらしくリッチテキストに対応しているが、iOSも5.1でリッチテキストをサポートするらしい。

その他のアプリはすでにIOSで実装されているものとほぼ同じで、異なるのはMacはGPSを搭載していないためにリマインダーで場所を指定した通知が出来ないとか、メッセージにはApple ID宛てのもののみがiOSデバイスとの間で同期されiPhone宛てのSMSは同期しないなど、Macのハードウェア制限に因るものぐらいのようだ。

前述のとおり10.4以降のメジャーバージョンアップはシステム内部に大幅な変更が加えられていたが、今回は1年でのメジャーバージョンアップということもあって基本はLionを踏襲しているように思われる。また、そうでなければディベロッパーも対応しきれないのでこれは当然のことだろう。
そういう意味で、メジャーバージョンアップに相応しい内容かと問われれば恐らく否だろう。しかし、それでも10.8とメジャーナンバーを更新したことにAppleの意思を感じさせられる。

それはLionの時点ですでに方向性が示されていたOS XとiOSの融合であり、今回あえてメジャーバージョンアップとしたのはそれをさらに鮮明に宣言するということを意味しているのだろう。それもあって以前から予告はされていたが今回から「正式に」Macが外れてただの「OS X」となっている。そして数バージョンのうちにOS XとiOSのバージョンナンバーを揃えることになるのかもしれない。一番可能性が高いのは10.9の後ではないだろうか。
今までどおり2年おきの更新だと、OS Xが10.9の次をリリースするのは5年後 (2017年) になる。しかしAppleはその前にOS XとiOSの統合を図りたく、とすればバージョンナンバーを1年で上げることによって再来年 (2014年) にはOS Xの終焉を告げることが出来る。

旧MacOSも9が最後のバージョンだった。当初はそれほど意識していなかったかもしれないが、OS Xも9をラストナンバーにするというシナリオはいかにもAppleの考えそうなことだ
その際にiOSのナンバーをそのまま引き継ぐか、そもそもiOSという名称で存続するかは分からない。iOSがこれまでどおり年1回のバージョンアップを果たすとするとiOS9は4年後の2016年になり、OS Xも従来どおり隔年の方が足並みは揃いやすいが、そうなると先のとおり時間が掛かりすぎる。

元々iOSはMac OS Xのサブセットとして開発されている。そのため内部構造はOS Xに良く似ている。従ってiOSで実装したアプリを同じ形でOS Xに実装するのはそれほど難しいことではない(もちろんiPhoneのようにハード機能に依存しているものは除く)。
iOSはOS Xの簡易版がスタート地点だったはずだが、LionからiOSからOS Xへのフィードバックを行うようになったのは当初Appleが想像していた以上にiOSの存在感が大きくなってきたからだろう。

2007年、最初にiPhoneが発表されたときジョブズは2008年には携帯電話市場の1%のシェアを目指すと宣言していた。巨大な携帯電話市場ならば1%でも十分な利益を生み出すと。そしてそのとおりに実現するとiPhoneは勢いを増し、2012年では携帯電話市場の5%を占めるほどにまで成長してきた。さらにタブレット市場ではiPadの独り勝ちが続いている。
このiOSの好調さがLionとその1年後のMountain LionでOS XのiOS化を進めさせることを後押ししているのは間違いない。

先にも書いたが、このままでいくと数バージョンのうちにOS XとiOSはほぼ同じ機能・同じインタフェースを実装することになる。もちろんMacにはパソコンとしての自由度があるので、完全に同じにならないだろうがエントリーユーザーがぱっと見た目にはほとんど見分けの付かないものになるかもしれない。

そうなると問われてくるのはMacの位置づけである。
初代iPodを発表した際にMacをデジタルハブとする構想も合わせてアピールされた。曰く、Macを中心としてiPodやTVなどのメディアを接続していくと。事実iPod登場以降はWindows版も含めてiTunesがその中核を担ってきた。
しかし、昨年のiCloudの発表でiTunesはその役目を幾らか軽減され、変わって中心になってきたのがiCloudとiTunes Store/App Storeを中核としたクラウドサービスとなる。
この時点でMacは中心から外れることになる。
事実、今回のMountain Lionに搭載された機能はMacを母艦として使うための機能ではなく、iOSデバイスと同様の1クライアントとしてのものだ。つまりMacを中心としたiPod/iOSではなく、クラウドサービスを中心としたMac/iPod/iOSデバイスと横並びに位置づけられたことになる。
ここで注意するのはiCloudがきっかけなのではなく、iOSデバイスの躍進がその基にありiCloudはそれを推し進めるための手段に過ぎないということだ。

iPadが登場する以前はPC市場ではネットブックがもてはやされていたが、iPad登場と同時にほぼ市場からは駆逐されつつある。つまりiPadが安いノートパソコン(エントリーユーザーにはネットブックとノートパソコンの区別は無い)と同じことが出来ると市場が判断したということになる。
そしてこのことはMacにとっても他人事ではなくなるかもしれない。

現在、一部ではiPhoneの一番のライバルはiPadだと言われるようになってきた。そして間もなく登場するiPad3ではクアッドコアと高解像度化が予想されている。
予想されているiPad3のハードウェア構成は
・1GHz超のクアッドコア
・1GBのメモリ
・最大64GB以上のSSD
・2000px超の解像度
・光学ドライブなし
・11g/n
・Bluetooth4.0
だが、一方のMacBook Airのハードウェア構成も
・1.6~1.8GHzのデュアルコア
・4GBのメモリ
・最小64GBのSSD
・1600px以下の解像度
・光学ドライブなし
・11g/n
・Bluetooth4.0
と極論を言えば、それほど差がなくなりつつある(もちろんCPUアーキテクチャーの違いなど分かる人には明らかに異なるものだが、そこらを歩いているおじちゃん・おばちゃんには区別など付かない)。
iPadはiPhoneのライバルなだけではなく、Macのライバルになりつつある。

恐らくAppleはiPhone/iPadが進化することでMac(特にMacBook系)がそのマーケットを浸食されることもシナリオとして描いているに違いない。
そして、それはAppleにとっては良いシナリオということになるだろう。

MacはiPhone/iPadに引っ張られるようにシェアを伸ばしているが、反面その他のPCは軒並み0%と成長が無い状態になっている。アップルも恐らく近い将来にMacも同じ流れになると考えているかもしれない。これはMacがいい悪いというより、パソコンのシェア自体がすでに飽和しつつあり、それを促進しているのが他ならないiPhone/iPadの自社製品だからだ。
そして、パソコン市場が飽和しているのに対してiPhone・iPadが好調なのは、おじちゃん・おばちゃんに代表される今までパソコンに見向きもしなかった層も購入しているという新たなマーケットを創造し続けていることが大きい。

iPhoneの50%超と言われている利益率(携帯市場の利益の4割を稼ぎ出している)も、Windowsより良いと言われているMacですら到達出来ない数字だ。そしてMacもMac App Storeを立ち上げているものの、iOSデバイス上のアプリは(脱獄を除けば)100%がApp Store経由でAppleが販売経路を独占出来ている。iPodがiTunes StoreだけでなくCDからリッピングすることも出来たのに対して、iOSデバイスはそのソフトの供給源を一点に集中していることになる。しかも面倒なレーベルとの交渉もないのだから、Appleはただプラットフォームを用意するだけで優れた(利益を生み出す)エコシステムを形成することが出来る。
一方、Macはその自由度からMac App Store以外の流通経路の方が未だに大きく、Appleのコントロール下に納め切れていない(Gatekeeperはユーザーを保護すると同時に、Appleにより権力を集約する目的も当然あるだろう)。

要するにiOSデバイスの方がより大きな潜在マーケットを確保出来るし、なによりMacを売るよりもiPhone/iPadを売る方が儲かるのだ。

今回のMountain LionでMacはiOSに近づいた。そして近いうちにエントリーレベルでは区別が付かなくなるだろう。その時、Macのラインナップはどのように変化していくのだろうか。
直近ではノートタイプは付加価値のあるAirが中心のラインナップになるかもしれない。
現在のMacBook Airは11インチと13インチだが、狭縁化することでほとんどサイズを変えずにそれぞれ13インチと15インチに(11インチは廃止)。Proは17インチのみとすることで当面は収益性の比較的高いモデル構成とすることも可能だろう。

しかし、その後は?

これまでもAppleは68KからPPC、旧MacOSからOS X、PPCからIntelと不可能と言われている移行を3度も実現させている。
Windows 8がARMをサポートするが、Appleはさらにそれを推し進めてIntelを廃止してARMに一本化するかもしれない。そして、Appleならば4度めの移行を当たり前のように成し遂げることだろう。

もしかするとMountain Lionは「現Macの終わり」の始まりなのかもしれない。

Mountain Lionは何を見つめているのだろうか。
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