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2012年7月 3日 (火)

損得




今回の消費税増税ほど損得がはっきりしているものはない。

まず一番得をしたのは官僚だ。長年の念願だった増税により大きな財源を確保できることになる。公務員というのは昔はパブリックサーバントと呼ばれたこともあったが、いまや単なる利権団体に過ぎない。彼らの目的は国民生活の充実ではなく、自分たちの省がいかに財源を確保して好きなことを出来るかという点にあるからだ。

二番目に得をしたのは自民党。彼らはさすがに長期政権にいただけあって官僚の目的は十二分に理解していたし、どこかで抵抗できなくなることも分かっていた。それでも税率を5%に据え置いていたのは増税というジョーカーを引きたくなかったからの1点に過ぎない。それが民主党を矢面に立たせて実現できた、つまり自分たちが悪者にならずに済んだのだからホクホクだろう。ついでにこれまでの民主党の動きと今回の法案で次の選挙でも政権に返り咲く目処が立ったのだから笑いが止まらないとはこのことだ。

三番目に得したのは小沢。彼は馬鹿ではない(個人的には支持していないが)。それだけに消費税増税が無くても民主党に先が無いのは十分理解していた。それだけに何とか次の選挙までに民主党から抜け出したいと考えていたところに、今回の増税である。小沢自身の思想として消費税増税反対があるわけではない。彼も官僚の圧力は十分承知している。自分が悪者にならず(少なくとも国民の反感を買わず)に離党する絶好のチャンスだ。そして結果、そのとおりになった。シメシメである。これで順風満帆とまでは行かないがそれでも民主党に残るよりは数倍マシな結果になるだろう。そして今回の離党人数からしても、新たに結成する新党が次の選挙で政権与党と連携する可能性は高いと思う。なぜなら小沢の基本は常に数の論理に従っているからだ。

一方、ダントツで損をしたのは野田。しょせん「どじょう」である。官僚にいいようにあしらわれて自分は将来の日本を救うために我が身を挺したつもりで悦に浸っているかもしれないが、歴史の審判は「ただのあやつり人形」という評価に落ち着くだろう。あげく景気回復の芽をつぶした戦犯扱いされることも高確率であり得る。

同じく民主党に残る議員も自ら損を掴み取っている。主義主張があって政治家になったわけではなく前回の選挙で自民が自滅したことで当選したに過ぎないのだから政治センスなどあるはずがない。結果、寄らば大樹の影と党に残ることにしたが(選んだわけではなく、考えることを放棄したに過ぎないのだが)、次の選挙では民主党の惨敗は規定路線なので一緒に沈むことになるだろう。ネズミですら沈没する船からは逃げるというのに、彼らはネズミ以下ということだ。どじょうとネズミ以下、そんなものだろう。
議論の中で盛んに「欧米諸国に比べると低い税率」という定型フレーズが使われた。彼らは欧米の現在の経済状況を見ていないのだろうか?国民全員が税に負担感を感じることなく消費を楽しんでいる欧米諸国がどれだけあるのか調べた発言では無いことは明らかだ。

財界も今回の選択が自分たちの浮沈に関わるという意識が弱いと思う。かつて日本は政治三流経済一流と言われたこともあったがもはや政治も経済も三流が妥当なところだろう。
財界が国民消費の低下に直結する消費税増税に反対しなかったのは、消費税が上げられなかった場合は大企業だけが優遇されている法人税の増税が財源とされることにつながるからに他ならない。よほど溜め込んだ内部留保を吐き出したくないのだろう。消費税増税によって国内消費が一段と冷え込むのは明らかだが、彼らはその分を海外のマーケットで稼ぐことを考えている。どうせ国内事業にこだわっても将来の人口減によって消費は自然と減るのだから、その分を海外で稼ごうというのだ。そして今盛んにビジネスを展開しているのがアジア諸国に対してということになる。が、そもそもその戦略が間違っている。
彼らにそう思わせているのは現在後進国に位置づけられているアジア経済が今後伸びていくという妄想にある。
アジアをはじめとする後進国でビジネスを行う際のデメリットはその利益率の低さにある。基本的に製品は高機能な高額製品と安い代わりに低機能に二分する。問題なのは製品の開発原価であって、実は多機能のものも低機能のものも原価はそれほど変わっていない。その理由は現在の製品の多くがソフトウェアに由っているからだ。つまりソフトウェア上で機能のビットをオンオフすることで差をつけているに過ぎない。そのため低機能の安い製品は総じて原価率が高くなる(利益率が下がる)ということになる。確かにそれでも数が確保出来れば利益の額は広がるかもしれないが、後進国に付き物の政治的あるいは地域の安定性リスクを考慮するととても安定したビジネスとは言えなくなる。
確かに現状を考えればアジア諸国はまだまだ経済的な伸びシロはあると思えるかもしれない、かつての戦後日本の復興のように。だが、その可能性は極めて低い。かつての日本は朝鮮戦争というスタートダッシュ、アメリカという保護、社会保障の拡大による生活の安定という3つの条件が重なったから実現できたことで、現在のアジア諸国のように外的要因も無ければ経済圏の保護もなく、すでに拡大している人口によって社会保障が困難、と伸びる要因が見当たらないという状況で同じような発展は期待できない(むしろ人口増加によって一人当たりの収入低下とそれによる購買力の低下すらあり得る)。さらに言えば経済はゼロサムゲームである。アジア諸国の経済力が上がるということはそれ以外の地域の経済力が下がることを意味する(下がる中には日本も含まれる)。つまり高機能で利幅の大きい地域の売上が減って、利幅の小さい地域の売上が伸びるというビジネスとしては効率(安定性)の低下ということだ。
どうせ日本の人口が減る=企業の労働力が減る=労務費(経費)が減るのだから、それならば安定して利益を生む日本のビジネスを維持するという選択をしても良いのではないか。結局消費税の増加は自分の企業の社員の生活を苦しめるという選択なのだから。

そしてもっとも損失を被るのは平均給与以下の過半数を占める日本国民なのはいつものこと。

税収の増加は経済の発展による自然増税が基本である。それを税率の増加によって達成させるのは経済施策の無能さを表しているに過ぎず、財務省は自分たちの無能さ加減を大々的に発表することで利益を得たというのが今回の消費税増税ということになる。

面白いのは国内の大手メディアは消費税増税賛成キャンペーンと小沢排除キャンペーンを行っているのに対して、WSJ等の海外系メディアは消費税増税に首をかしげ小沢のチャンスと報道していること。やはり外にいると色々見えるのかもしれない。






 
 

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