WWDC 2013 予想
あと1週間でWWDCが開催されるが、今年は何が発表されるのだろう。
Macのポイントは光学ドライブを搭載したMacBook Proの廃止・継続が1つ。現在のMacBookシリーズはAirとPro(以降、光学ドライブなしをProと記述)、Pro Retina(以降、Retinaと記述)の3ラインナップだが、Proの17インチが廃止されたのに続き15インチ・13インチがRetinaに一本化される可能性はある(廃止の場合、WWDCで発表されることなく黙って消えるだけだろう)。昨年Retinaの13インチ・15インチがリリースされた後も光学ドライブ版を併売していたのはAppleとしても昨年のタイミングで廃止する決断をしかねたのではないだろうか。しかし、その後1年の販売データを得てRetinaが好調だと判断すれば、光学ドライブの廃止に踏み切るかもしれない。その場合、値上げ感を防ぐ意味からも従来のRetina版の$1,499/$1,699という価格も見直しされてそれぞれ$100程度は値下げされることも期待出来る。
全モデルが光学ドライブレスとなると次に想像できるのはAirとRetinaの統合になるが、これが今回のHaswellで実現されるかどうかは微妙。現在のRetinaがAirのような楔形筐体でないのは、Retinaディスプレイを駆動するためにより大容量のバッテリを搭載する必要があることと、内部に余裕を作って放熱性を確保するためだと思われる。現在のRetinaは13インチで15%程度、15インチで22%程、非Retinaの同サイズよりバッテリー容量が多い。単純に言えばHaswellでこの数字程度バッテリー消費量が削減出来れば、後は放熱処理さえクリアすることでAirと同様の楔筐体にすることが可能ということになる。もし同一筐体となった場合にはAirとRetinaを区別する必要性はなくなり、オプションで通常ディスプレイかRetinaディスプレイかを選択するだけ(以前の15インチでのノーマルディスプレイと高精細ディスプレイのオプションと同じようなこと)になるかもしれない。
ただし、今回正式にリリースされたノートPC用のHaswellはCore i7モデルのみなので、iMac・Mac miniのみが発表されて、MacBookシリーズには適用されなかったり、MacBook ProはHaswellのCorei7でMacBook AirはIvyBridgeでCorei5・Corei7とシリーズで違う可能性もある。IvyBridgeとHaswellはチップセットレベルで異なるため、Corei5・Corei7では基盤から違うものになる。すでにノートタイプを発表しているベンダーはCorei7専用モデルとしてリリースしているが、Appleは果たして?
6/4にUltrabook用のCorei5/Corei3のU/Yシリーズが発表されたので、MacBookシリーズにも搭載されそう。
もう一つのポイントはMac Proの新ラインナップ。
さすがに現在のUSBは2.0でThunderboltも搭載していないモデルの販売は今年辺りが限界だ。Mac ProのThunderbolt化はCinema Displayの終了も意味する。Mac ProがThunderboltに対応していないが故にCinemaディスプレイとThunderboltディスプレイを併売せざるをえず、ムダを嫌うAppleにとってはThunderboltディスプレイへの一本化を出来る限り早く進めたいに違いない。現時点では1Q(10月)でのリリースが有力だが、これもHaswellに合わせて今回発表される可能性が無いわけではない。Mac Proがもっとも出荷されたのは2008年~2009年頃だと思われ、企業にとっては減価償却やリース期間が終了してリプレースのタイミングを迎えつつある。Mac Proは利幅も大きいと思われるので、Appleとしては企業の買い替えタイミングと自社の財務を見ながらリリース時期を探っているのだろう。
現在、光学ドライブを搭載しているのは前述のMacBook ProとMac Proの2機種のみだが、さすがにMac Proはその用途や筐体から光学ドライブは全廃とはならないと思われる(内蔵オプションになる可能性はある)。
先日の為替レートの見直しで価格改定された際にiPhone5だけは改正されなかった。これは改正分をau・ソフトバンクが被ったのか(もしくは現在の在庫が切れた時点で価格改定)、それとも次期iPhoneのリリースに備えて改正しなかったのかの判断は難しい。
後者の場合、WWDCで何らかの発表がされることになるだろう。それが次期iPhoneなのか噂されている廉価版iPhoneなのかは分からない。
次期iPhoneが5Sとなる場合は変更点は限定されたものとなり、恐らくはCPU・カメラの強化と128GBモデルの追加程度が予想される。一方でNFC等の新たなハードウェアテクノロジーを搭載してきた場合は筐体変更を伴うことから、Sモデルではなく6へとナンバーが上がることもあり得る。
iPhoneの強みはiTunes等のApple製品によるエコシステムの確立とともに、豊富なサードベンダー製品にある。そしてサードベンダーにとってiPhone向けのビジネスが美味しいのは、これまでの筐体の変更が2年毎ということであり一度設計をすれば2年間はそれを維持することが出来ること、つまり開発コストを抑えつつなおかつ息の長い旨味がある製品になるということだ。そのため自然と対応製品が豊富にリリースされ、それがiPod/iPhoneをさらに魅力あるものにするというエコシステムの一部としてこれまで機能してきた。
昨年、AppleはiPhone5で従来のDockコネクタをLightningコネクタに変更した。これはユーザー以上にサードベンダーにとってインパクトのある話で、現在でもDocからLightningに製品のリプレースは続いている。この状況下で筐体の変更を伴う可能性のあるiPhone6のリリースは、サードベンダーにとっては設計のやり直しを意味することになり、これまでの旨味があるビジネスとは異なる状況になる可能性がある。一方で売れ行きの鈍りつつあるiPhone5からのテコ入れを期待する向きも当然あり、これも判断が難しい。
廉価版iPhoneは筐体サイズをiPhone5と同一にし、一方で筐体を変更したiPhone6をリリースすることで既存のiPhone5用周辺マーケットを保持しつつ、新たなハードウェアによる大幅なパワーアップを図るというシナリオも考えられなくはないが、可能性が高いのはiPhone5Sで廉価版はiPhone4のデザインを踏襲することなく、コストダウンしやすい新しい筐体デザインとなるだろう。
iPad/iPad miniは昨年秋のiPhone5で採用されたLightningコネクタへの変更に合わせて、それまでの3月リリースから時期をズラしてリリースされた。AppleとしてはLightiningコネクタへの移行上当然のリリースなのだが、これにより1QにiPhone、3QにiPadと半期ごとのユーザーへの遡及が出来なくなったのが痛い。iPhoneとiPadを同時期にリリースしたことによってユーザーは「両方」ではなく「どちらか一方」に流れる可能性は高く、さらに利幅の小さいiPad miniという三択の状況になった結果として今期予測を下回る状況に繋がったのは当然と言える。
iPad3にA6チップを搭載出来ていればiPad4はLightningコネクタ対応だけで済み(ナンバーを上げずにiPad3Sとする手もあった)、2QにA7チップを搭載した新iPadを1年ぶりのCPU変更でリリースできたのだが、さすがに5ヶ月でのモデル変更はコスト的にもマーケティング的にも上手くない。
Appleとしての理想のリリースタイミングは、新学期を控えた7月前後にMacBookとiPhone、ホリデーシーズンにはプレゼントとして購入しやすいiPodシリーズとiPad mini、ホリデーシーズン後の締まった財布が春の訪れとともに再び緩み始めるの3月にiPadではないだろうか。このスケジュールだとほぼ年間を通して新製品によるアピールが出来る。前述のとおり、昨年秋はLightningコネクタ対応でiPhone、iPad、iPad mini、iPod touch、iPod nanoと怒涛のリリースがされたが、本来であれば年間に分散して購買を散らしたいところ。
iPodシリーズとiPad miniはホリデーシーズン向けで9月発表となる公算が高いことから、段階的に発売時期を春に近づけるためにiPad 5のみ発表されるかもしれない。
ソフトウェアではiOS7またはOSX 10.9となるが、こちらも順当に発表されるかは微妙なところ。
iOS6の地図問題から汚名返上するためにも、今年発表されるiOS7には高いレベルが要求されるため、OS Xの開発リソースからもiOSに借り出されていることでOS Xの開発にも遅れが生じているという噂もある。
iOSはこのWWDCでプレビューを発表してその後3ヶ月程度かけてブラッシュアップ、9月に次期iPhoneと合わせてリリースとなるのではないか(次期iPhoneはiOS7と同時にリリースされることが好ましく、そうなるとハードウェアとしての次期iPhoneは今回発表されないということになるが)。
最低でもHaswellの電源管理に対応した10.8.4はリリースされることになるOS Xは、お世辞にもiCloudとの親和性が高いと言えなかったiWorksやiPhoto等の製品見直しがそろそろ行われてもいい頃ではないかと思う。前述のとおりOS Xの開発リソースがiOSに割かれているのが本当だとすれば、OS本体の機能よりも格納されているアプリのiCloud対応や先のiWorks製品のアップグレードとそれに伴うOSへの標準化という話があってもいい。そうすれば少なくともバグによるリスクの高いOS Xのコアに手を入れることなく、見た目上でも機能アップをアピールすることが出来るだろう。
[追記]会場内のバナーに7とXという文字があるとのこと。iOS7とOSX 10.9はほぼ確定か。
そして発表されれば今回の目玉となるのが、定額でのストリーミング再生だ。この機能が新しいインタフェースで提供される場合は、iOS7・OS X 10.9としてリリースされることとなり、iTunesに統合した形になるのであればiTunes 12としてiOS・OS Xとは切り離して先行リリースされる場合もある。
個人的には10.6.8を搭載したMBA 11とMBP17の2台構成で全く不満が無く、iPhone4SもiOS5からアップする気はない。聴きたい曲もほぼiTunesに入っているため定額ストリーミングも使う理由も無さそうなので、今回も物欲無しで財布の心配をすることなく見ることになりそう。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)