Apple

2013年6月 3日 (月)

WWDC 2013 予想

あと1週間でWWDCが開催されるが、今年は何が発表されるのだろう。

Macのポイントは光学ドライブを搭載したMacBook Proの廃止・継続が1つ。現在のMacBookシリーズはAirとPro(以降、光学ドライブなしをProと記述)、Pro Retina(以降、Retinaと記述)の3ラインナップだが、Proの17インチが廃止されたのに続き15インチ・13インチがRetinaに一本化される可能性はある(廃止の場合、WWDCで発表されることなく黙って消えるだけだろう)。昨年Retinaの13インチ・15インチがリリースされた後も光学ドライブ版を併売していたのはAppleとしても昨年のタイミングで廃止する決断をしかねたのではないだろうか。しかし、その後1年の販売データを得てRetinaが好調だと判断すれば、光学ドライブの廃止に踏み切るかもしれない。その場合、値上げ感を防ぐ意味からも従来のRetina版の$1,499/$1,699という価格も見直しされてそれぞれ$100程度は値下げされることも期待出来る。

全モデルが光学ドライブレスとなると次に想像できるのはAirとRetinaの統合になるが、これが今回のHaswellで実現されるかどうかは微妙。現在のRetinaがAirのような楔形筐体でないのは、Retinaディスプレイを駆動するためにより大容量のバッテリを搭載する必要があることと、内部に余裕を作って放熱性を確保するためだと思われる。現在のRetinaは13インチで15%程度、15インチで22%程、非Retinaの同サイズよりバッテリー容量が多い。単純に言えばHaswellでこの数字程度バッテリー消費量が削減出来れば、後は放熱処理さえクリアすることでAirと同様の楔筐体にすることが可能ということになる。もし同一筐体となった場合にはAirとRetinaを区別する必要性はなくなり、オプションで通常ディスプレイかRetinaディスプレイかを選択するだけ(以前の15インチでのノーマルディスプレイと高精細ディスプレイのオプションと同じようなこと)になるかもしれない。

ただし、今回正式にリリースされたノートPC用のHaswellはCore i7モデルのみなので、iMac・Mac miniのみが発表されて、MacBookシリーズには適用されなかったり、MacBook ProはHaswellのCorei7でMacBook AirはIvyBridgeでCorei5・Corei7とシリーズで違う可能性もある。IvyBridgeとHaswellはチップセットレベルで異なるため、Corei5・Corei7では基盤から違うものになる。すでにノートタイプを発表しているベンダーはCorei7専用モデルとしてリリースしているが、Appleは果たして?
6/4にUltrabook用のCorei5/Corei3のU/Yシリーズが発表されたので、MacBookシリーズにも搭載されそう。

もう一つのポイントはMac Proの新ラインナップ。
さすがに現在のUSBは2.0でThunderboltも搭載していないモデルの販売は今年辺りが限界だ。Mac ProのThunderbolt化はCinema Displayの終了も意味する。Mac ProがThunderboltに対応していないが故にCinemaディスプレイとThunderboltディスプレイを併売せざるをえず、ムダを嫌うAppleにとってはThunderboltディスプレイへの一本化を出来る限り早く進めたいに違いない。現時点では1Q(10月)でのリリースが有力だが、これもHaswellに合わせて今回発表される可能性が無いわけではない。Mac Proがもっとも出荷されたのは2008年~2009年頃だと思われ、企業にとっては減価償却やリース期間が終了してリプレースのタイミングを迎えつつある。Mac Proは利幅も大きいと思われるので、Appleとしては企業の買い替えタイミングと自社の財務を見ながらリリース時期を探っているのだろう。
現在、光学ドライブを搭載しているのは前述のMacBook ProとMac Proの2機種のみだが、さすがにMac Proはその用途や筐体から光学ドライブは全廃とはならないと思われる(内蔵オプションになる可能性はある)。

先日の為替レートの見直しで価格改定された際にiPhone5だけは改正されなかった。これは改正分をau・ソフトバンクが被ったのか(もしくは現在の在庫が切れた時点で価格改定)、それとも次期iPhoneのリリースに備えて改正しなかったのかの判断は難しい。
後者の場合、WWDCで何らかの発表がされることになるだろう。それが次期iPhoneなのか噂されている廉価版iPhoneなのかは分からない。

次期iPhoneが5Sとなる場合は変更点は限定されたものとなり、恐らくはCPU・カメラの強化と128GBモデルの追加程度が予想される。一方でNFC等の新たなハードウェアテクノロジーを搭載してきた場合は筐体変更を伴うことから、Sモデルではなく6へとナンバーが上がることもあり得る。
iPhoneの強みはiTunes等のApple製品によるエコシステムの確立とともに、豊富なサードベンダー製品にある。そしてサードベンダーにとってiPhone向けのビジネスが美味しいのは、これまでの筐体の変更が2年毎ということであり一度設計をすれば2年間はそれを維持することが出来ること、つまり開発コストを抑えつつなおかつ息の長い旨味がある製品になるということだ。そのため自然と対応製品が豊富にリリースされ、それがiPod/iPhoneをさらに魅力あるものにするというエコシステムの一部としてこれまで機能してきた。
昨年、AppleはiPhone5で従来のDockコネクタをLightningコネクタに変更した。これはユーザー以上にサードベンダーにとってインパクトのある話で、現在でもDocからLightningに製品のリプレースは続いている。この状況下で筐体の変更を伴う可能性のあるiPhone6のリリースは、サードベンダーにとっては設計のやり直しを意味することになり、これまでの旨味があるビジネスとは異なる状況になる可能性がある。一方で売れ行きの鈍りつつあるiPhone5からのテコ入れを期待する向きも当然あり、これも判断が難しい。
廉価版iPhoneは筐体サイズをiPhone5と同一にし、一方で筐体を変更したiPhone6をリリースすることで既存のiPhone5用周辺マーケットを保持しつつ、新たなハードウェアによる大幅なパワーアップを図るというシナリオも考えられなくはないが、可能性が高いのはiPhone5Sで廉価版はiPhone4のデザインを踏襲することなく、コストダウンしやすい新しい筐体デザインとなるだろう。

iPad/iPad miniは昨年秋のiPhone5で採用されたLightningコネクタへの変更に合わせて、それまでの3月リリースから時期をズラしてリリースされた。AppleとしてはLightiningコネクタへの移行上当然のリリースなのだが、これにより1QにiPhone、3QにiPadと半期ごとのユーザーへの遡及が出来なくなったのが痛い。iPhoneとiPadを同時期にリリースしたことによってユーザーは「両方」ではなく「どちらか一方」に流れる可能性は高く、さらに利幅の小さいiPad miniという三択の状況になった結果として今期予測を下回る状況に繋がったのは当然と言える。
iPad3にA6チップを搭載出来ていればiPad4はLightningコネクタ対応だけで済み(ナンバーを上げずにiPad3Sとする手もあった)、2QにA7チップを搭載した新iPadを1年ぶりのCPU変更でリリースできたのだが、さすがに5ヶ月でのモデル変更はコスト的にもマーケティング的にも上手くない。

Appleとしての理想のリリースタイミングは、新学期を控えた7月前後にMacBookとiPhone、ホリデーシーズンにはプレゼントとして購入しやすいiPodシリーズとiPad mini、ホリデーシーズン後の締まった財布が春の訪れとともに再び緩み始めるの3月にiPadではないだろうか。このスケジュールだとほぼ年間を通して新製品によるアピールが出来る。前述のとおり、昨年秋はLightningコネクタ対応でiPhone、iPad、iPad mini、iPod touch、iPod nanoと怒涛のリリースがされたが、本来であれば年間に分散して購買を散らしたいところ。
iPodシリーズとiPad miniはホリデーシーズン向けで9月発表となる公算が高いことから、段階的に発売時期を春に近づけるためにiPad 5のみ発表されるかもしれない。


ソフトウェアではiOS7またはOSX 10.9となるが、こちらも順当に発表されるかは微妙なところ。
iOS6の地図問題から汚名返上するためにも、今年発表されるiOS7には高いレベルが要求されるため、OS Xの開発リソースからもiOSに借り出されていることでOS Xの開発にも遅れが生じているという噂もある。

iOSはこのWWDCでプレビューを発表してその後3ヶ月程度かけてブラッシュアップ、9月に次期iPhoneと合わせてリリースとなるのではないか(次期iPhoneはiOS7と同時にリリースされることが好ましく、そうなるとハードウェアとしての次期iPhoneは今回発表されないということになるが)。

最低でもHaswellの電源管理に対応した10.8.4はリリースされることになるOS Xは、お世辞にもiCloudとの親和性が高いと言えなかったiWorksやiPhoto等の製品見直しがそろそろ行われてもいい頃ではないかと思う。前述のとおりOS Xの開発リソースがiOSに割かれているのが本当だとすれば、OS本体の機能よりも格納されているアプリのiCloud対応や先のiWorks製品のアップグレードとそれに伴うOSへの標準化という話があってもいい。そうすれば少なくともバグによるリスクの高いOS Xのコアに手を入れることなく、見た目上でも機能アップをアピールすることが出来るだろう。

[追記]会場内のバナーに7とXという文字があるとのこと。iOS7とOSX 10.9はほぼ確定か。

そして発表されれば今回の目玉となるのが、定額でのストリーミング再生だ。この機能が新しいインタフェースで提供される場合は、iOS7・OS X 10.9としてリリースされることとなり、iTunesに統合した形になるのであればiTunes 12としてiOS・OS Xとは切り離して先行リリースされる場合もある。


個人的には10.6.8を搭載したMBA 11とMBP17の2台構成で全く不満が無く、iPhone4SもiOS5からアップする気はない。聴きたい曲もほぼiTunesに入っているため定額ストリーミングも使う理由も無さそうなので、今回も物欲無しで財布の心配をすることなく見ることになりそう。

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2013年5月31日 (金)

iOSデバイスの価格改定

Appleの一部製品が値上げされた。Appleから価格変更に関するリリースは出されていないものの、急速に変化した為替レートに対応するものであるのは間違いない。

これまで66,800円だったiPad4の128GBモデルが79,800円と13,000円のアップだが、U.Sのストアの$799を元に算出すると為替レートがそれまでの$1=80円前後から95円に見直しとなっている。

単純に79,800円を799ドルで割って100円で見直しとしている報道もあるようだが、厳密にはこれは間違い。
U.S.ストアの値段は税抜き価格だからだ。これは州ごとに消費税率が異なるためで、例えばオレゴン州やモンタナ州は消費税がないため、$799で購入することが出来るが、アリゾナ州は9%強のため$870以上になる。
したがって79,800円の消費税抜きの本体価格である76,000円を$799で割ると、$1=95円程度での価格設定されていることが分かる。

もしかするとAppleは3Qの調整に暫定的にこのレートを適用したのであって、為替レート次第では4Qの始まる7月または1Q開始の10月に再度レートの見直しを行う可能性はある。。
WWDC後にリリースされる製品のレート(日本での販売価格)でこの辺りは少し見えてくるかもしれない。

今回このAppleの値上げは様々な媒体でニュースとして取り上げられているが、一般紙は円安の影響としてアピールしやすいという安易な理由で報道しているに過ぎない。Appleはこれまでも為替に合わせて何度も値段の変動を行っており、特に珍しいことではないのだから。

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2012年10月24日 (水)

Apple Special Event, October 2012 雑感

日本時間の10月24日2時から行われたスペシャルイベントで発表された製品の雑感を簡単に。

まずRetina MacBook Pro 13。MacBookシリーズの中で一番のボリュームゾーンに付加価値製品を投入というビジネスのスタンダードに沿った製品。従来型より軽くなったために懐に余裕があるユーザーはMacBook Airの13ではなく、こちらを選ぶケースもあると思う。
ディスクリートGPUを搭載せず、内蔵GPUのみとなっているためRetinaモードで表示している時の負荷は多少厳しいかもしれない。

Mac miniもIvy Bridge化。サーバー系の使い方とインストール作業用にターゲットモードを使用するケースを想定してFirewireを残したのだと思うが、それで正解。進化というほどのものでもないが順当なところだろう。

iMacからも光学ドライブが外された。ただ外しただけだとデザイン上締まりが無いから薄型化をしたのだと思う。実際にはスタンドの奥行きはそれほど変わっていないので本体の容積が幾ら減っても、作業エリアとして確保するサイズは変わらないので、ノートの薄型化とは全く意味が異なる。
ノートは薄型・軽量などの観点から光学ドライブの廃止という方向性は十分アリだが、iMacの場合はクラウド化促進のためでしかなく、ユーザーの利があまり無いだけにデザインでどこまでアピール出来るかが鍵。

iPad 4thはLightningで統一するために、このタイミングで出さざるを得なかったのだろう。LTEのチップはiPhone5と共通化のために、アメリカ以外もサポートすることになった。日本に限って言えばソフトバンクの独占が崩れたことが一番のメリット。
CPU・GPUの性能はiPad 3rdの2倍とのことだが、iPad自体が性能追求型でもなく従来のA5Xでも十分なスペックを持っていることから、iPad 3rdからの買い替えについてはiPhone5とコネクタを統一したいという場合以外は踏みとどまって5thまで待ってもいいと思う。

iPad miniは、7インチクラスの市場を奪われないために出した製品であって、勝負製品ではないと思う。Appleも勝とうというよりは、負けなければいいというスタンスではないだろうか。
それでも他社と差別化を図るために7.9インチのディスプレイを搭載したが、そのバーターとしてベゼルの幅が極端に狭くなり、親指でつまむと前面のタッチパネルに掛かってしまう多少まずいデザインとなった。そのため商品写真の様に両端を挟む持ち方か背中に手を当てる持ち方のいずれかになると思うが、日本人や女性の手だと前者の持ち方は少し厳しいかもしれない。
ちょっと無理をしたのではないかな?という印象だ。
一方でアプリケーションの継承が足かせになっている部分として解像度がある。他社の最新7インチクラスは一律1280ピクセルとなっているのに対して、大画面の7.9インチを搭載しつつもiPad miniは1024ピクセルに留まっている。そのためppiでは低い値になっており、並べて比べられると画面が粗い印象を受けるかもしれない。これはApple Store等でiPad 4thと並んで展示されている場合にも言えることだ。

iPad miniを除いては、これまでのAppleの既定路線に則った製品であり、2,3世代前からの買い替え需要には応えられるラインナップだと思う。

今回のイベントはほぼ出てくるラインナップが予想出来ていた上に、個人的な興味を惹かれるものも無さそうだったので、久しぶりのライブストリーミングだったが見ずに寝てしまった。
前回、今回と事前のリークが多いせいもあって、サプライズ感が無いのが少し残念。

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2012年6月21日 (木)

10.7、Pogoplug、Windowsタブレット、その他色々雑感




先日のWWDCでOS Xユーザーのうち40%が10.7(Lion)ユーザーであるとの発表があったが、日本の某Mac関連ネタを中心としたブログでは70%近いユーザーが10.7を使用している。
この違いはブログにアクセスしているユーザーはほとんどが個人ユーザーでビジネスユーザーが含まれていないと思われること(仕事中にブラウジングしているのであれば別だが)と、比較的新しいもの好きな日本人の趣向性の影響かもしれない。ビジネスユーザーは使用しているアプリケーションやOSのMac App Store経由での購入という法人向きではないアップグレード方法からLionへの移行はそれほど進んでいないのではないか?と想像している。


Retina Display MacBook Proの実機を触ってきた。確かにディスプレイは綺麗だった。対応しているアプリケーションでは文字もくっきり見えた。にも関わらず、物欲に響くことが無かった。それは何故だろうと考えてみたところ、一文字ずつきちんと読んでいないという使い方の事実に気がついた。
日本語をネイティブとしてこれまで生きてきた。その結果として文脈を捉えながら読んでいるために文章を言い方は悪いが「適当に認識」している。日本語入力にしても十数年間に渡って鍛え上げてきたATOKの辞書があるため、変換もきちんと確認しないでも大抵は正しく入力されている…と思い込んでいる。せっかくRetinaの文字が綺麗に表示していてもそれを見ている人間がいい加減にディスプレイを見ているから心に響かないのだろう。
そういえば昔から「選択肢の中から適切なものを選べ」「選択肢の中から適切でないものを選べ」という問題が混じった試験では成績が悪かったことを思い出した。ちゃんと問題の文字を読んでいなかった証拠である。


Pogoplugがどんどん改悪されている。
以前、ソフトウェアがバージョンアップされた際にパソコンとPogoplugデバイス間でファイルの同期が出来なくなった(トランスコードで変換されて転送されるので純粋なバックアップ・同期ではなくなった)。それでもバージョンアップ以前に設定済みのバックアップは動作していたのだが、最近それもされなくなったので色々試してみたところ従来は無料で使用できていたリモートアクセス(他のクライアントからPogoplugソフトウェアを通してパソコン内のフォルダにアクセスする機能)が、Pogoplug PCという名前で有料サービスになっていた。パソコン1台につき2,980円($29.95だから今ならドル建ての方が安い)。
Dropbox等の既存のクラウドストレージサービスにGoogle Drive等の新規サービスの追加などにより、Pogoplugのビジネス環境が厳しくなってきているのだと思う。またサービス開始から数年が経過してそろそろビジネスの収支結果を求められるようになってきたのだろうとも思うが、ユーザーにしてみれば改悪以外のなにものでもないのが残念。案外このサービスもそう長くはもたないかも…。


iPhone5のドックコネクタの形状変更が現実のものとなりそうだ。
モバイルバッテリーや職場に置いてあるACアダプターとかが全部互換性が無くなってしまう。ドックコネクタは唯一iPodから一貫して同じ規格だっただけにエコシステムが確立しきっているから、影響はかなり大きなものになるだろう。変換アダプタを介した互換性はあるのだろうか?
一番の不安はiPod(nanoとclassicの非iOSデバイス)の行く末。ちなみに音楽プレイヤーとしては5thのnanoが一番完成度が高い製品だと思う。


AppleからDeveloper Previewで提供しているプログラムに関して口外しないようにと念押しのメール。怖い、怖い。
※ということでiOS6とMountain Lionの話はボツ。


Windows 8タブレットが発表された。今回はMicrosoft自身でハードを作って販売するというiPadと同じエコシステムを取り入れるようだ。だが、Microsoftは分かっていない。Windowsは販売したのはMicrosoftではなくOEMベンダーだということを。小売店で売り場を確保したのもDellであったりHPであったりソニーであったりNECであって、Microsoftではない。ユーザーもWindowsのパソコンを買ったのではなく、DellのパソコンやSONYのVAIOとOEMベンダーを判断・選択して購入している。
iPadを販売しているのは?と問われれば誰もがAppleだと答えるだろう。しかしWindowsパソコンを販売しているのはと問われても誰一人Microsoftとは言わないのだ。Appleのやり方をベースにもっと優れたエコシステムを構築したのであればともかく、今回のやり方はまんまAppleのマネである。それでは追いつけない。


そして間髪いれずにWindows Phone 8が発表された。
あいも変わらずパソコンとの共通性・親和性を謳っているがスマートフォンはパソコンとは違うというのが常識となってしまった以上、意味が無い。うたい文句の中には高いセキュリティやビジネスとの親和性というのもあるが、これも従来から何ら変わっていない。ジョブズがiPhoneを発表したときの一文を覚えていないのだろうか?「電話を再発明した」というアレである。
かつてのPDAは携帯情報端末という位置づけで、パソコンの情報を出先でも手軽に使えるものという定義であった。それをAppleは電話の再発明ということで、スマートフォンを改めてコミュニケーションツールであると定義したのだ。電話自体は音声を流すだけのシンプルな装置であって、価値があるのは音声を介して交換される会話の内容であるはずだ。そしてiPhoneはこの音声に加えて情報を交換するためのシンプルな(操作性を持つ)装置だとアピールした。つまりスマートフォンはそれ自体に高い機能を有するのではなく、高いコミュニケーションを提供するソフトウェアやサービスを円滑に動かすプラットフォームに過ぎないということだ。2007年のiPhone発表時のジョブズのスピーチがそれを物語っている。
「3つの新製品を開発した、それはiPod、電話、インターネットコミュニケーターだ。そしてこれは1つのデバイスで機能する」と。これがiPhoneの(というよりスマートフォンの)全てを物語っている。
極論を言えばスマートフォンに高度なセキュリティは要らない。利用するサービス(例えばFacebook)がセキュリティを有していればそれでいいのだ。ビジネス向けの機能もOSが提供する必要はない。それぞれのビジネススタイルに合ったサービスをサードベンダーが提供すればいいだけなのだ。
また、iPhoneやAndroidが市場を席巻して分かったことがある。Microsoftにとってもっとも重要でもっとも致命的なことだが、スマートフォンはWindowsとの親和性など必要としていないということだ。
iPhoneの発表から5年。Micorosoftはまだそれが分かっていない、少なくとも今回の発表ではそう感じた。






 
 

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2012年6月12日 (火)

WWDC 2012 雑感




WWDC 2012のキーノートで発表されたのは
・Ivy Bridge搭載のMacBook Air、MacBook Pro(13インチと15インチ。17インチは終了)
・Retina Displayを搭載したNext Generation MacBook Pro 15インチ
・Mountain Lion
・iOS6
の4つ。

iPhone5は発表されなかった。LTEを搭載という電話としての基本機能に関わる変更が行われることから、iOS5の状態でリリースして後日iOS6にアップデートというパターンも有りかと思っていたが、Appleは今後はiOSのメジャーアップはハードとセットとする方針を固めたようだ。
iOS5は機能の目玉の一つであるSiriがiPhone4Sでのみのサポートとなったために同時リリースだったのだが、そうなると今度のiOS6に搭載される機能の中にもiPhone5限定の機能があるのだろうか?
ということでiPhone5が発表されるかも…という予想は大外れ。

MacBook Airと(従来の)MacBook Proは想定の範囲内というより、想定されていたそのものでIvy Bridge対応とチップセットがサポートすることによるUSB3.0の搭載、内蔵GPUがIntel HD Graphics 4000とディスクリートGPUのnVidiaへの変更に留まった。面白いのはUSB3.0のポートをグレーにしたこと。USB3.0のポートは青とすることが推奨(といいつつほぼ仕様)となっているが、デザイン上我慢出来なかったのだろう。ポートの色をグレーにすることにそれなりの交渉を行ったはずだが、この辺りに妥協しないところはAppleらしい。
GPUがSnow Leopardがサポートしていないものに変わったため、このマシンからSnow Leopardの動作は基本的に不可能となる。

Next Generationは噂どおり高解像度のディスプレイを搭載してきた。モデルは15インチのみだが2,880×1,800と15インチの縦横がちょうど2倍の解像度を実現した。そのため縦横比は変わらず16:10。
光学ドライブを廃止してストレージはSSDのみ。SSDの容量は下位モデルが256GB、上位モデルは512GBで768GBにCTOが可能。メモリは標準8GBで16GBへのCTOも用意されている。どうやらAir同様に基盤に直付けらしく後から自分で交換することはほぼ不可能だ。裏のネジもAirと同じく特殊なものを採用しているようだ。
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Performance_backpng


気になるのは液晶部分の薄さだ。Airでも十分薄いと感じたがこのサイズでこの薄さだと耐久性が足りないような気がする。薄さを実現するためにガラスも廃止したとのことがなおさら強度の低下につながり、少なくとも都内のラッシュ時の圧力に耐えられるかどうかは疑問だ。2kg程度の重さからモバイル中心とはならないかもしれないが、持ち運びそれもラッシュ時に掛かるような場合は注意が必要だと思う。

iPhoneがそれまでの163ppiからiPhone4で326ppiと初めてRetinaディスプレイを名乗り(ジョブズ曰く300ppiを越えると網膜が区別出来ない)、iPadがそれまでの132ppiからiPad(2012)で264ppi(この時はiPhoneよりも目とディスプレイの距離が離れるからこれでもRetinaだと、少々苦しい言い訳)、そして今回は従来型の110ppi(高解像度モデルでは128ppi)から220ppiとiPad(2012)よりもppi値は低いがやはり同じ言い訳でRetinaを名乗っている(ちなみに17インチのMacBook Proは133ppi)。
どうしても画面が大きくなるに従って解像度は低くなる(同じ解像度ではコストや歩留まりが量産的ではなくなる)ので仕方がない。
ちなみに下位モデルは税抜きで176,000円、上位モデルは同じく227,429円。ドルではそれぞれ$2,199と$2,799だから、下位モデルは$1が80.04円で上位モデルは81.25円で換算されたことになる。Appleの場合は往々にして下位モデルの方が為替レートが有利な場合が多いような気がする。

そしてその影でひっそりとMacBook Proのラインナップから17インチが消えた。
17インチを終了させたのは技術的な問題ではなく、恐らくはNext Generation MacBook Proの影響であることはほぼ間違いない。価格的にもバッティングするし、何より最上位モデルであるはずの17インチよりもNext Generationの方が解像度が高いというのはAppleの考えるシンプルなラインナップの考え方にそぐわないからだろう。
また、Appleは数字を発表こそしていないものの17インチの出荷台数は15インチを大幅に下回り、そのサイズと相まってコストも割高だと推測される。そしてNext Generationも当初はどうしてもコストが高くなりがちとなるため、コスト高のラインを2本抱えたくないという判断が働いたのかもしれない。

Mountain Lionはこれまでもすでに発表されていたため、目新しさは特にない。それでもDeveloper Release3からは多少機能が改善されているようだ。

iOS6はFacebookの統合やGoogle Mapからの変更などは噂どおりだが、新しい機能としてPassbookが追加された。リマインダーと同様に時間や場所に応じてパスを表示してくれる。パス上に表示されているQRコード等でサービスを受けることも出来るし、飛行機の座席表示なども対応するようだ。日本の場合はほぼ同様の機能(場所や時間で表示されないものの、バックグラウンドで認識してくれる)おサイフケータイが普及しているため、すでにそれらで対応しているサービスは追加されないかもしれないが、新しいサービスでは採用される可能性があると思う。
不思議なのはiPod touchの4th genに対応しているにも関わらずiPad 1stに対応していない点だ。両方ともCPUは1GHzのA4でRAMは256MB、GPUはPowerVR SGXと基本処理に掛かる部分の性能はほぼ同じであるにも関わらず。違いと言えばジャイロスコープの有無があり(iPod touch 4Gは搭載しているがiPad 1stは搭載していない)、もしかするとこれが地図アプリの動作に影響するためにiPad 1stではiOS6がサポート対象外になったのかもしれない。地図アプリとそれに関わる位置情報はiOSの様々な機能と連携しているだけに、その地図アプリが完全に動作しない(のかもしれない)iPad 1stが除外されたという可能性はある。
※アップした後に気がついたが、サポートされているiPhone3GSもジャイロスコープは搭載していない…となると??

今回はかなり盛りだくさんだったために、アップルのプレゼンにしては珍しく時間的に余裕が無く駆け足でのプレゼンになったような印象がある。






 
 

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2012年6月11日 (月)

WWDCキーノート前夜




WWDC2012がもうすぐ開催される。
ソフトウェアではMountain LionとiOS6が発表されるのはほぼ確実。いずれもiCloudを中心にアピールされることになるだろう。現状のiCloudが利益を生む状況にまで育っていない以上はプッシュするのは当然で、このiCloud連携を中心にしたアップデートの傾向はもうしばらく続くと思われる。あと地味なところではSafari5.2がこれを気にLion向けにリリースされるかもしれない。バージョンナンバーこそ0.1上がるだけだが、それなりに変更されている。Mountain Lionは5.2からのサポートとなるはず。

ハードウェアではIvy Bridge搭載MacとiPhone5はまず間違いないところで、サプライズがあるとすれば噂のテレビかもしれない。Front Rowの廃止からも推測されるようにテレビ自体をiOSのインタフェースでコントロールすると言うよりは、AirPlay端末としてAppleTVの発展型に位置づけられそうな気がする。

キーノート後追記 iPhone無し。

iPhoneは4Sこそリリースが遅れたものの、それまでのモデルは6月から7月の間にリリースされたことから、今度のiPhone5も発表後から予約が開始され6月下旬頃の発売となる可能性が高い。そして新たに追加される機能としてLTE対応となるのもほぼ間違いが無いだろう。
MacはIvy Bridge以外にもオプティカルドライブの廃止や高解像度化など様々な噂が飛び交っているので、楽しみにしたい。

色々目白押しなWWDCになりそうでAppleの今後の方向性を知る上でもとても楽しみなのだが、それはそれ。導入という観点ではiOS6以外は見送ることになるだろう。

まずMacOSについてはMountain LionのDRを試した限りではSnow Leopardから乗り換える気にはならない。リマインダー機能が追加されるのはちょっと魅力だったが、MacUpdate PromoのJune Bundleにも含まれているBusy Calを使えばMacからリマインダーの編集をしてiCloud経由でiOSデバイスとも連携出来るので問題ない。
そしてSnow Leopardを使い続ける限りはMacも買い換えることはない…というより出来ない。そうでなくてもAirはLate 2010だしProはLate 2011、いずれも現役として十分なスペックだし気持ち的な面でも減価償却が済んでいない。光学ドライブをMacBook Proに搭載しないという噂があるならばなおさら。すでにMacBook Proからも光学ドライブを外しているため光学ドライブの有無には拘らないが、光学ドライブの代わりにSSD+HDDの速度と容量を両立させている今の構成が快適過ぎるのだ。それがデフォルトで光学ドライブを廃止されるとこのハイブリッド構成がとれなくなってしまう。
Retina化についてもMacに関しては現状で問題ない。iPhone4はあの画面サイズだったからRetina化の効果はあったと思うが、パソコンではモニターと目の距離が段違いに遠いからだ。同じ理由でNew iPadも購入対象にならなかった。もちろんキレイになるとは思うがコストに見合う価値を現時点では見出させない。Photoshop等についても実際に編集する際には600ppiで作成したファイルを300%とか500%に拡大して作業しているのでRetina化で倍(300ppi)になったぐらいではまだ足りない。

iPhoneの方も買うのはSモデルまで保留。LTEがサポートされても繋がらない高速回線よりは、多少遅くても何処でも繋がるドコモの3G回線の方がまだ実用的。気になるのはドックコネクタの形状だ。ケーブルにしてもアクセサリにしても、当然ながら現状のドックコネクタ規格で揃っているので、噂されているような小型化されたコネクタに切り替えられると周辺系がほぼ全てアウトになってしまいかねない。場合によっては当面4Sを使い続けることを視野に入れる必要があるかもしれない。

MacにせよiOSデバイスにせよ出来が良すぎて生活の一部にしっかりハマってしまっているため、逆に簡単に買い換えない(買い換えられない)状況になってしまっている。






 
 

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2012年2月19日 (日)

Mountain Lionの登場、そしてその先にあるもの




AppleからMountain Lion (10.8) が発表された(メディアにはディベロッパープレビュー版が1W前に配布されていた模様)。
昨年のLionのリリースから6ヶ月強でのメジャーバージョンアップ発表(正式リリースは夏なので1年)で、Panther (10.3) 以来の1年でのメジャーバージョンアップということになる。
10.4ではシステム内部の大幅な変更がなされたし、10.5ではUniversal Binary化やCocoaの64bit化、10.6では内部コードの書き直し、10.7ではインタフェースの刷新など、ここ数年ではアーキテクチャーの変更を伴うメジャーバージョンアップに相応しい内容だったが、今回の10.8は1年での更新ということもあって内部アーキテクチャーを置き換えるようなことはなく、10.7に対して機能をアドオンするパターンに近いと思う。

今回発表されている新たな機能は
1. iCloud
2. メッセージ
3.リマインダー
4.メモ
5.通知センター
6.共有シート
7.Twitter
8.Game Center
9.AirPlayミラーリング
10.Gatekeeper

これらの機能や名前を見ても分かるとおり、Lion (10.7)をベースに基本はiOSからのフィードバックを実装したものとなる。
そのため個々の機能もiOSに準じたものであり、目新しさには欠ける。

iCloudも10.7.2で実装はされていたもので、すでにLionでも~/Library/Mobile Documents配下にアプリケーション毎にフォルダが作られてiCloudと同期されている。今回はiCloud対応のアプリがオープン/セーブ ダイアログで「iCloud」と「このMac内」を選べるようにAPIが拡張されたに過ぎない。
オープン/セーブ ダイアログで「iCloud」を選択するとアイコンはiOSのようにファイルと、ファイルを重ね合わせて作成するフォルダで表示される。iOSと異なるのはフォルダ内はCover Flowで表示されるためにファイル数の制限を受けないことぐらいだろう。また前述のようにFinderからiCloudデータを格納しているフォルダにアクセス出来るので、ドキュメントフォルダ内にさらに階層フォルダを作成するというiOSでは不可能なフォルダ内フォルダも作成することが出来るようだ。ただし、イレギュラーな操作なのでアクセス等に制限は掛かると思われる。

メモは従来Mail.appに内包されていたものが独立したアプリケーションになっている。Macアプリらしくリッチテキストに対応しているが、iOSも5.1でリッチテキストをサポートするらしい。

その他のアプリはすでにIOSで実装されているものとほぼ同じで、異なるのはMacはGPSを搭載していないためにリマインダーで場所を指定した通知が出来ないとか、メッセージにはApple ID宛てのもののみがiOSデバイスとの間で同期されiPhone宛てのSMSは同期しないなど、Macのハードウェア制限に因るものぐらいのようだ。

前述のとおり10.4以降のメジャーバージョンアップはシステム内部に大幅な変更が加えられていたが、今回は1年でのメジャーバージョンアップということもあって基本はLionを踏襲しているように思われる。また、そうでなければディベロッパーも対応しきれないのでこれは当然のことだろう。
そういう意味で、メジャーバージョンアップに相応しい内容かと問われれば恐らく否だろう。しかし、それでも10.8とメジャーナンバーを更新したことにAppleの意思を感じさせられる。

それはLionの時点ですでに方向性が示されていたOS XとiOSの融合であり、今回あえてメジャーバージョンアップとしたのはそれをさらに鮮明に宣言するということを意味しているのだろう。それもあって以前から予告はされていたが今回から「正式に」Macが外れてただの「OS X」となっている。そして数バージョンのうちにOS XとiOSのバージョンナンバーを揃えることになるのかもしれない。一番可能性が高いのは10.9の後ではないだろうか。
今までどおり2年おきの更新だと、OS Xが10.9の次をリリースするのは5年後 (2017年) になる。しかしAppleはその前にOS XとiOSの統合を図りたく、とすればバージョンナンバーを1年で上げることによって再来年 (2014年) にはOS Xの終焉を告げることが出来る。

旧MacOSも9が最後のバージョンだった。当初はそれほど意識していなかったかもしれないが、OS Xも9をラストナンバーにするというシナリオはいかにもAppleの考えそうなことだ
その際にiOSのナンバーをそのまま引き継ぐか、そもそもiOSという名称で存続するかは分からない。iOSがこれまでどおり年1回のバージョンアップを果たすとするとiOS9は4年後の2016年になり、OS Xも従来どおり隔年の方が足並みは揃いやすいが、そうなると先のとおり時間が掛かりすぎる。

元々iOSはMac OS Xのサブセットとして開発されている。そのため内部構造はOS Xに良く似ている。従ってiOSで実装したアプリを同じ形でOS Xに実装するのはそれほど難しいことではない(もちろんiPhoneのようにハード機能に依存しているものは除く)。
iOSはOS Xの簡易版がスタート地点だったはずだが、LionからiOSからOS Xへのフィードバックを行うようになったのは当初Appleが想像していた以上にiOSの存在感が大きくなってきたからだろう。

2007年、最初にiPhoneが発表されたときジョブズは2008年には携帯電話市場の1%のシェアを目指すと宣言していた。巨大な携帯電話市場ならば1%でも十分な利益を生み出すと。そしてそのとおりに実現するとiPhoneは勢いを増し、2012年では携帯電話市場の5%を占めるほどにまで成長してきた。さらにタブレット市場ではiPadの独り勝ちが続いている。
このiOSの好調さがLionとその1年後のMountain LionでOS XのiOS化を進めさせることを後押ししているのは間違いない。

先にも書いたが、このままでいくと数バージョンのうちにOS XとiOSはほぼ同じ機能・同じインタフェースを実装することになる。もちろんMacにはパソコンとしての自由度があるので、完全に同じにならないだろうがエントリーユーザーがぱっと見た目にはほとんど見分けの付かないものになるかもしれない。

そうなると問われてくるのはMacの位置づけである。
初代iPodを発表した際にMacをデジタルハブとする構想も合わせてアピールされた。曰く、Macを中心としてiPodやTVなどのメディアを接続していくと。事実iPod登場以降はWindows版も含めてiTunesがその中核を担ってきた。
しかし、昨年のiCloudの発表でiTunesはその役目を幾らか軽減され、変わって中心になってきたのがiCloudとiTunes Store/App Storeを中核としたクラウドサービスとなる。
この時点でMacは中心から外れることになる。
事実、今回のMountain Lionに搭載された機能はMacを母艦として使うための機能ではなく、iOSデバイスと同様の1クライアントとしてのものだ。つまりMacを中心としたiPod/iOSではなく、クラウドサービスを中心としたMac/iPod/iOSデバイスと横並びに位置づけられたことになる。
ここで注意するのはiCloudがきっかけなのではなく、iOSデバイスの躍進がその基にありiCloudはそれを推し進めるための手段に過ぎないということだ。

iPadが登場する以前はPC市場ではネットブックがもてはやされていたが、iPad登場と同時にほぼ市場からは駆逐されつつある。つまりiPadが安いノートパソコン(エントリーユーザーにはネットブックとノートパソコンの区別は無い)と同じことが出来ると市場が判断したということになる。
そしてこのことはMacにとっても他人事ではなくなるかもしれない。

現在、一部ではiPhoneの一番のライバルはiPadだと言われるようになってきた。そして間もなく登場するiPad3ではクアッドコアと高解像度化が予想されている。
予想されているiPad3のハードウェア構成は
・1GHz超のクアッドコア
・1GBのメモリ
・最大64GB以上のSSD
・2000px超の解像度
・光学ドライブなし
・11g/n
・Bluetooth4.0
だが、一方のMacBook Airのハードウェア構成も
・1.6~1.8GHzのデュアルコア
・4GBのメモリ
・最小64GBのSSD
・1600px以下の解像度
・光学ドライブなし
・11g/n
・Bluetooth4.0
と極論を言えば、それほど差がなくなりつつある(もちろんCPUアーキテクチャーの違いなど分かる人には明らかに異なるものだが、そこらを歩いているおじちゃん・おばちゃんには区別など付かない)。
iPadはiPhoneのライバルなだけではなく、Macのライバルになりつつある。

恐らくAppleはiPhone/iPadが進化することでMac(特にMacBook系)がそのマーケットを浸食されることもシナリオとして描いているに違いない。
そして、それはAppleにとっては良いシナリオということになるだろう。

MacはiPhone/iPadに引っ張られるようにシェアを伸ばしているが、反面その他のPCは軒並み0%と成長が無い状態になっている。アップルも恐らく近い将来にMacも同じ流れになると考えているかもしれない。これはMacがいい悪いというより、パソコンのシェア自体がすでに飽和しつつあり、それを促進しているのが他ならないiPhone/iPadの自社製品だからだ。
そして、パソコン市場が飽和しているのに対してiPhone・iPadが好調なのは、おじちゃん・おばちゃんに代表される今までパソコンに見向きもしなかった層も購入しているという新たなマーケットを創造し続けていることが大きい。

iPhoneの50%超と言われている利益率(携帯市場の利益の4割を稼ぎ出している)も、Windowsより良いと言われているMacですら到達出来ない数字だ。そしてMacもMac App Storeを立ち上げているものの、iOSデバイス上のアプリは(脱獄を除けば)100%がApp Store経由でAppleが販売経路を独占出来ている。iPodがiTunes StoreだけでなくCDからリッピングすることも出来たのに対して、iOSデバイスはそのソフトの供給源を一点に集中していることになる。しかも面倒なレーベルとの交渉もないのだから、Appleはただプラットフォームを用意するだけで優れた(利益を生み出す)エコシステムを形成することが出来る。
一方、Macはその自由度からMac App Store以外の流通経路の方が未だに大きく、Appleのコントロール下に納め切れていない(Gatekeeperはユーザーを保護すると同時に、Appleにより権力を集約する目的も当然あるだろう)。

要するにiOSデバイスの方がより大きな潜在マーケットを確保出来るし、なによりMacを売るよりもiPhone/iPadを売る方が儲かるのだ。

今回のMountain LionでMacはiOSに近づいた。そして近いうちにエントリーレベルでは区別が付かなくなるだろう。その時、Macのラインナップはどのように変化していくのだろうか。
直近ではノートタイプは付加価値のあるAirが中心のラインナップになるかもしれない。
現在のMacBook Airは11インチと13インチだが、狭縁化することでほとんどサイズを変えずにそれぞれ13インチと15インチに(11インチは廃止)。Proは17インチのみとすることで当面は収益性の比較的高いモデル構成とすることも可能だろう。

しかし、その後は?

これまでもAppleは68KからPPC、旧MacOSからOS X、PPCからIntelと不可能と言われている移行を3度も実現させている。
Windows 8がARMをサポートするが、Appleはさらにそれを推し進めてIntelを廃止してARMに一本化するかもしれない。そして、Appleならば4度めの移行を当たり前のように成し遂げることだろう。

もしかするとMountain Lionは「現Macの終わり」の始まりなのかもしれない。

Mountain Lionは何を見つめているのだろうか。
Mountain_lion_300x300





 
 

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2012年1月 6日 (金)

ジーニアスバーの受付システム




この前ジーニアスバーに行ったら、従来(去年の秋)はMacBookで処理していた受付処理(予約確認ではなくカウンター内のシステム)がiPadに変わっていた。
どうやらジーニアスは1人に1台割り当てられていて、自分のiPadを持ってきて対応する場所に来るとDockケーブルをつないで作業するようだ(バッテリーの不安からか)。

印刷はAirPrintで行っているのかと聞いたら(こっちが気になっていたのでアプリの作りを聞き忘れた)、データをサーバーに送って共有プリンターで送り元のIPアドレスから誰が印刷したのか判断して出力している…らしいとの事だった(さすがにこんな事を聞くゲストはいないのだろう)。

印刷レイアウトまで作り込んだアプリを作るより簡単なインタフェースとDB側でデータを帳票出力する方が簡単に作れる(元々そういう機能を持っているだから)から、WebアプリかFileMaker Go等で画面だけ作っているのかもしれない。
POSシステムと違い、作りはシンプルな印象だった。
(POSシステムもiPod touchで処理して、それぞれの机の下に設置してあるプリンタからレシートを出力している)

修理や相談の受付もiPadで行うことで、iPadを使っていないMacユーザーや趣味だけにiPadを使っているユーザーにもiPadのビジネス価値を訴求出来るかもしれない。効率的で安いシステムであると同時にPRも兼ねているのだろう。Appleのことだからそこまで考えているに違いない。

それなりに混んでいたのであまり詳しい話を聞くことは出来なかったが、今度行く機会があったらもう少し聞いてみたい…ジーニアスバーに行く機会など無い方が嬉しいのだけれど。

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2012年1月 4日 (水)

MacBookのパームレスト(キーボード)とベゼルを交換




昨日、銀座のジーニアスバーに持ち込んだMacBook Mid 2009をピックアップ。

アップルストアは昨日に比べるとかなり空いていた(Macの「お正月ムービー」は今日も流れていた)。
4Fに降りたってから受け取って下りのエレベーターに乗るまでその間わずか3分。

有名Macブロガーであるもっと知りたいリンゴあれこれのyucovinさんでさえ同様の事象で持ち込んだ際にはパームレストだけでベゼルは交換してくれなかったとのことでちょっと心配になったが、今回は両方とも交換されて返ってきた。
規約が変更になったのか?と聞いてみたが、分からないとのこと。

修理に出した時も普通に「パームレストとベゼルが割れている」とだけ言ったら、特に何もなく両方交換しますとのことだった。あえて言えばパームレストが割れたのが2回目なことぐらいだろうか。

部品名は「Housing Kit, Top Case w Keyboard, Display Bezel」で、部品番号は一つだからパームレストとベゼルのセットということになる。
部品単価は\8,000だがポリカボのパームレストの割れは保証期間の1年を経過後も無償で交換してくれる(ただし最長で5年と期限はあるらしい-交換部品の保存期間かもしれない-ので注意)。

このMacBookは以前に光学ドライブを外してSSDに換装をしたことがあり、その際に光学ドライブとファンを跨いで貼ってあったアルミシールにハッキリと剥がした跡が残っている(跡を残さずに剥がすことはほぼ不可能)ので、修理対象から外されるのではないかという不安もあった。
(光学ドライブを外す際にはパームレストを外さなければならず、その際に割れたのでは?と指摘されると製品の不良ではなく利用者の過失と判断されて修理の対象にはならない可能性が高い)
しかしその不安も何事もなく終了。昨日のお賽銭の効果…かもしれない。

ポリカボの白は外装もグロスなので拭けばかなり(というかほぼ新品同様まで)綺麗になる。液晶には保護フィルムを貼っていたので綺麗なままだし今回ベゼルとパームレスト(含むキーボード)も交換したため、外装上はほぼ新品の状態となった。

せっかく綺麗になったのだから寝かせてしまうのももったいない気がする。特にiPod(6th以前の白いモデル)やiPhone4系の白モデルと並べると、間違いなくインテリアとしてカッコイイ。ウッドのテーブルに並べて、さらに横に同じく白のマグカップや観葉植物を並べるとまるで広告写真のようになりそう(だが、残念なことにそんなに綺麗な部屋ではない)。

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2011年12月19日 (月)

2011年末時点で使用しているApple製品




Mac。

  • MacBook Pro 17インチ、Late 2011モデル、グレア、U.S.キーボード。
    光学ドライブを外してSSD(120GB)+HDD(750GB)に変更
    メモリ8GBに変更。
    様々な紆余曲折を経てメインマシンとして自宅のリビング・ダイニング等で使用。
    iPod、iPad、iPhoneの母艦。
    lionプレインストールモデルだがシステムはMacBookから引き継いで使っているのでSnow Leopard。
    何回か持ち出しており、ケースもあるが珍しいケースなので非公開。
    Macbookpro17022411


  • MacBook Air 11インチ、Late 2010モデル、U.S.キーボード。
    SSDは64GBだが常時10〜15GBの空きがあるので十分。
    メモリは4GB。
    外出用マシン。データはクラウドサービスやPogoplugに格納しているため、ほとんど無い(唯一入っていてかつサイズが大きいのがParallelsの仮想マシン)。
    インストールしているアプリの構成はMacBook Proとは異なる。
    ブログのエントリは大抵このマシンとEvernote上で書いて、MacBook Proで画像編集などを行ってからアップロードしている。
    Snow Leopard。
    ケースはBookiBook
    Macbookair11insnowleopard


Macについては当面Snow Leopardを使い続けるので当面買い換えることはない予定(あくまで予定であって決定ではないのだが)。

iOSデバイス。
  • iPhone4S、白、64GB。
    キャリアはドコモ
    iPod touchからリプレース。64GBになったこと、シングルコアのiPod touchで動作がもたつくアプリが出てきたこと、ドコモからXiプランが安く利用できるようになったことから購入を決意。
    色については、液晶の光漏れの不具合のため白モデルには日本製の液晶ディスプレイを搭載しているという噂と、昔からiPod系は白が似合う思っていることから白を選択。
    格納している音楽はピックアップした2,500曲程度で、容量のほとんどは写真やアプリなどのデータ。
    Iphone4swhite


  • iPad2、黒、16GB、WiFiモデル。
    iPod touch(現在ではiPhone)の小さい文字を夜に寝室で読んでいるとと目に悪いことと、GarageBand(Mac版は所有しているが)を使いたかった(当時iPod touch版は無かった)から購入。
    寒くなってきた今の季節は、布団の中で活躍中。
    使用用途から16GBで十分と判断した。空き容量は3GB程度なので、目論見通り。当然3Gは不要。
    夜、比較的暗い部屋で操作するので、ベゼルが目立たないように(邪魔にならないように)黒モデルを選択。
    音楽やビデオに関してはホームシェアリングで母艦のMacBook Proにアクセスしているので一切入っていない。
    スマートカバーは当然(PRODUCT)RED。
    横位置でのキーボード入力用にKickstarter.comでこれを予約。
    Ipad2black



iPod。
  • iPod 5.5G、80GB、白。
    120GBに換装してiTunesの音楽ライブラリを全部入れている。購入以来一度もバッテリーを交換していないが、いまだに週一回充電すれば週5日通勤時の使用でバッテリー切れを起こさない働き者。
    iPod ソックスに入れて使用。毎日気分で色を変えられるので、汚れてボロボロになるたび買い換えている。
    Ipodvideowhite55generation


  • iPod nano 5G、16GB、(PRODUCT)RED。
    主に夏場などシャツ一枚で外出時など荷物を少しでも減らしたい際や、海や山などアウトドア系のレジャー時に使用。そのため首から何かをぶら下げるのは嫌いなくせに、nanoだけはポリカボのジャケットに首からぶら下げられるストラップを付けている。
    音楽プレイヤーとしての操作性はiPod 5.5Gや後発のiPod touch・iPhoneよりもこれが一番優れていると思う。特に再生中のアーティストで検索など、iOSモデルでも出来てよさそうなのに出来ない機能が便利。
    Ipodnano5gproductred


上記以外にもiPod touchを始めとして使わなくなった旧機種があるが、現役なのは上記の6台…持ちすぎのような気がするが、先日記述したメールアカウントの併用と同様に使用するシチュエーションは棲み分けが出来ている。

外出時:MacBook Air + iPhone
自宅:MacBook Pro + iPad
平日:iPod
休日:iPod nano

ストレージもメインのMacBook Proは750GB(+SSD)、iPhone4Sは64GBの最大容量を選択していることに対して、サブ機のMacBook Airは64GB、iPad2は16GBと最低容量を選択とハイローミックスがハッキリしている。
例外はiPod nanoで、さすがに8GBは小さ過ぎたし、差額も安かったことから16GBを選択した。

ここ10年ほどの購入経緯。

SONYのSonicstageに腹が立ってiTunes(iPod)を導入。

軽装時用にnanoを購入。

音楽ライブラリを活用するためにiPod touchを購入。

SnowLeopardの出来が良かったのとiPod touchとの連携を考慮してMacBookを購入。

外出時用にMacBook Airを購入。

寝室での利用目的でiPadを購入。

SandyBridgeによる基本性能の大幅強化と今後の新機種にはSnowLeopardがインストール出来ないのでMacBook Proを購入。

大容量化と高速化によりiPhoneを購入。

シチュエーション別のモデル構成やデバイス間の連携という現在のAppleの製品戦略がしっかりと確立されているからなのだろうが、見事という他ないほどAppleの戦略にはめられている。しかし、それ故に機器間の連携や資産の継承などが便利なのも確かだ。
事実、これからWindowsに変更とすると幾つかのアプリケーションは買い直さなければならないし、Androidに変更するとやはりアプリの購入が必要となる。
また、Walkmanに戻そうとしてもすでに多量にある音楽ファイルをエンコードし直したり、iTunes Storeで購入した楽曲を新たに購入し直す気には到底なれない。
iOS5によって外出先でiPhoneから購入したものや、iPadで購入したものが自動的に他のデバイスやiTunesにコピーされるようになったのも便利だ。

これだけあっても昔のMacintoshの半額以下なのだから安くなったものだ。とは言うものの、さすがにしばらくはこの構成で使っていきたい。


    

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