10.7、Pogoplug、Windowsタブレット、その他色々雑感
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先日のWWDCでOS Xユーザーのうち40%が10.7(Lion)ユーザーであるとの発表があったが、日本の某Mac関連ネタを中心としたブログでは70%近いユーザーが10.7を使用している。
この違いはブログにアクセスしているユーザーはほとんどが個人ユーザーでビジネスユーザーが含まれていないと思われること(仕事中にブラウジングしているのであれば別だが)と、比較的新しいもの好きな日本人の趣向性の影響かもしれない。ビジネスユーザーは使用しているアプリケーションやOSのMac App Store経由での購入という法人向きではないアップグレード方法からLionへの移行はそれほど進んでいないのではないか?と想像している。
Retina Display MacBook Proの実機を触ってきた。確かにディスプレイは綺麗だった。対応しているアプリケーションでは文字もくっきり見えた。にも関わらず、物欲に響くことが無かった。それは何故だろうと考えてみたところ、一文字ずつきちんと読んでいないという使い方の事実に気がついた。
日本語をネイティブとしてこれまで生きてきた。その結果として文脈を捉えながら読んでいるために文章を言い方は悪いが「適当に認識」している。日本語入力にしても十数年間に渡って鍛え上げてきたATOKの辞書があるため、変換もきちんと確認しないでも大抵は正しく入力されている…と思い込んでいる。せっかくRetinaの文字が綺麗に表示していてもそれを見ている人間がいい加減にディスプレイを見ているから心に響かないのだろう。
そういえば昔から「選択肢の中から適切なものを選べ」「選択肢の中から適切でないものを選べ」という問題が混じった試験では成績が悪かったことを思い出した。ちゃんと問題の文字を読んでいなかった証拠である。
Pogoplugがどんどん改悪されている。
以前、ソフトウェアがバージョンアップされた際にパソコンとPogoplugデバイス間でファイルの同期が出来なくなった(トランスコードで変換されて転送されるので純粋なバックアップ・同期ではなくなった)。それでもバージョンアップ以前に設定済みのバックアップは動作していたのだが、最近それもされなくなったので色々試してみたところ従来は無料で使用できていたリモートアクセス(他のクライアントからPogoplugソフトウェアを通してパソコン内のフォルダにアクセスする機能)が、Pogoplug PCという名前で有料サービスになっていた。パソコン1台につき2,980円($29.95だから今ならドル建ての方が安い)。
Dropbox等の既存のクラウドストレージサービスにGoogle Drive等の新規サービスの追加などにより、Pogoplugのビジネス環境が厳しくなってきているのだと思う。またサービス開始から数年が経過してそろそろビジネスの収支結果を求められるようになってきたのだろうとも思うが、ユーザーにしてみれば改悪以外のなにものでもないのが残念。案外このサービスもそう長くはもたないかも…。
iPhone5のドックコネクタの形状変更が現実のものとなりそうだ。
モバイルバッテリーや職場に置いてあるACアダプターとかが全部互換性が無くなってしまう。ドックコネクタは唯一iPodから一貫して同じ規格だっただけにエコシステムが確立しきっているから、影響はかなり大きなものになるだろう。変換アダプタを介した互換性はあるのだろうか?
一番の不安はiPod(nanoとclassicの非iOSデバイス)の行く末。ちなみに音楽プレイヤーとしては5thのnanoが一番完成度が高い製品だと思う。
AppleからDeveloper Previewで提供しているプログラムに関して口外しないようにと念押しのメール。怖い、怖い。
※ということでiOS6とMountain Lionの話はボツ。
Windows 8タブレットが発表された。今回はMicrosoft自身でハードを作って販売するというiPadと同じエコシステムを取り入れるようだ。だが、Microsoftは分かっていない。Windowsは販売したのはMicrosoftではなくOEMベンダーだということを。小売店で売り場を確保したのもDellであったりHPであったりソニーであったりNECであって、Microsoftではない。ユーザーもWindowsのパソコンを買ったのではなく、DellのパソコンやSONYのVAIOとOEMベンダーを判断・選択して購入している。
iPadを販売しているのは?と問われれば誰もがAppleだと答えるだろう。しかしWindowsパソコンを販売しているのはと問われても誰一人Microsoftとは言わないのだ。Appleのやり方をベースにもっと優れたエコシステムを構築したのであればともかく、今回のやり方はまんまAppleのマネである。それでは追いつけない。
そして間髪いれずにWindows Phone 8が発表された。
あいも変わらずパソコンとの共通性・親和性を謳っているがスマートフォンはパソコンとは違うというのが常識となってしまった以上、意味が無い。うたい文句の中には高いセキュリティやビジネスとの親和性というのもあるが、これも従来から何ら変わっていない。ジョブズがiPhoneを発表したときの一文を覚えていないのだろうか?「電話を再発明した」というアレである。
かつてのPDAは携帯情報端末という位置づけで、パソコンの情報を出先でも手軽に使えるものという定義であった。それをAppleは電話の再発明ということで、スマートフォンを改めてコミュニケーションツールであると定義したのだ。電話自体は音声を流すだけのシンプルな装置であって、価値があるのは音声を介して交換される会話の内容であるはずだ。そしてiPhoneはこの音声に加えて情報を交換するためのシンプルな(操作性を持つ)装置だとアピールした。つまりスマートフォンはそれ自体に高い機能を有するのではなく、高いコミュニケーションを提供するソフトウェアやサービスを円滑に動かすプラットフォームに過ぎないということだ。2007年のiPhone発表時のジョブズのスピーチがそれを物語っている。
「3つの新製品を開発した、それはiPod、電話、インターネットコミュニケーターだ。そしてこれは1つのデバイスで機能する」と。これがiPhoneの(というよりスマートフォンの)全てを物語っている。
極論を言えばスマートフォンに高度なセキュリティは要らない。利用するサービス(例えばFacebook)がセキュリティを有していればそれでいいのだ。ビジネス向けの機能もOSが提供する必要はない。それぞれのビジネススタイルに合ったサービスをサードベンダーが提供すればいいだけなのだ。
また、iPhoneやAndroidが市場を席巻して分かったことがある。Microsoftにとってもっとも重要でもっとも致命的なことだが、スマートフォンはWindowsとの親和性など必要としていないということだ。
iPhoneの発表から5年。Micorosoftはまだそれが分かっていない、少なくとも今回の発表ではそう感じた。
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